【はじめに】
「子どもが『膝が痛い』『かかとが痛い』って言ってるけどなんだろう…」
「病院に行くべきか、しばらく様子を見ても大丈夫なの?」
そんな悩みを持つ親御さんは多いと思います。
実は、**子どもが訴える“身体の痛み”の中には、スポーツによって起こる“成長期特有のケガ(スポーツ障害)”**がたくさんあります。
今回は、整形外科で子どもたちのケアを行っている柔道整復師の視点から、子供によく見られるスポーツ障害を10種類ピックアップして、部位別にわかりやすくご紹介します!
【1. オスグッド・シュラッター病】

- 場所:膝のお皿の下(脛骨粗面)
- 特徴:太ももの前側の筋肉の使い過ぎ。走る・ジャンプ・階段昇降などで痛み。膝下がボコッと出っ張ってくることも。スポーツ男子に多い。
- よくある競技:サッカー、バスケ、野球など。走ったり、跳ねたりが多いスポーツ
【2. セーバー病(踵骨骨端症)】

- 場所:かかとの後ろ(アキレス腱の付け根)
- 特徴:ふくらはぎ~アキレス腱の引っ張り。走ると痛い、朝の歩き出しがつらい。押すと痛がる。成長期の男の子に多い。
- よくある競技:サッカー、陸上、体操など、ふくらはぎの筋肉を使うスポーツ
【3. 膝蓋靱帯炎(ジャンパー膝)】

- 場所:膝のお皿の下(膝蓋腱)
- 特徴:太ももの前側の筋肉の使い過ぎによる引っ張られ。ジャンプや着地、ダッシュ時に膝前が痛む。悪化すると階段もつらい。
- よくある競技:バスケ、バレー、陸上など。ジャンプを繰り返し行うスポーツ
【4. 腸脛靭帯炎(ランナー膝)】

- 場所:太ももの外側〜膝の外側
- 特徴:走っているときに膝の外側上部が痛む。オーバーユース(使いすぎ)による。腸脛靭帯の柔軟性低下。
- よくある競技:長距離、サッカー、野球など。ランニングなど膝を曲げ伸ばしを繰り返すスポーツ
【5. 疲労骨折(脛骨・中足骨・腰椎など)】
- 場所:すね(脛骨)、足の甲(中足骨)、腰(腰椎)などさまざま
- 特徴:運動時に強い痛み。痛みが徐々に強くなり、休んでもなかなか引かない。骨の同じ場所に繰り返しの負担。初期はレントゲンで変化がないこともある。
- よくある競技:陸上、体操、バレー、野球など。走ったり跳ねたりが多いスポーツ
【6. リトルリーガー肩】
- 場所:肩全体(骨端軟骨の側方)
- 特徴:投球時に痛み。成長期の投げすぎ。上腕骨近位骨端線離開(疲労骨折)。
- よくある競技:野球、ソフトボール
【7.野球肘(リトルリーガー肘)】
- 場所:肘の内側、外側や後方
- 特徴:投球時に筋肉や靭帯の引っ張られ、捻じれなどの圧力によって、肘の骨折や靭帯や筋肉を傷める。成長期の投げすぎで関節に負担がかかる。
- よくある競技:野球、ソフトボール
【8. 有痛性外脛骨】

- 場所:内くるぶしの下あたり(足の内側)
- 特徴:運動量が多くなり、段々と痛みが出てくる。土踏まずのアーチ形成と関係して偏平足のある人に出やすい。骨のでっぱりを感じる。
- よくある競技:サッカー、バスケなど。運動量が多いスポーツ
【9. 腰椎分離症(思春期)】
- 場所:腰(背骨の下のほう)
- 特徴:スポーツ時、繰り返しの腰を捻る、反る動作による疲労骨折。初期は痛みが強い。14歳前後の男子に多い。
- よくある競技:野球、バレーボール、陸上、サッカーなど
【10. シンスプリント】

- 場所:すねの内側
- 特徴:ふくらはぎの後ろ内側の筋肉の引っ張られにより、すねの骨の膜に炎症が起きる。偏平足や膝足のアライメント異常が要因となる。レントゲンでは異常所見がみられないのが特徴。
- よくある競技:サッカー、バスケなど。ランニング、ジャンプ、ターンが多いスポーツ
【まとめ】
成長期の子どもは、身体の成長に加えて運動量も増加するため、スポーツで負担がかかるとさまざまな“成長期特有のケガ”が起きやすくなります。
「うちの子、最近ひざが痛いって…でも成長痛だよね?」と自己判断せず、
早めに医療機関に相談することで、悪化を防ぎ、より早くスポーツ復帰できるケースもあります。
そして日頃のケアや身体の使い方をチェックすることが大切です。
親御さんへメッセージ
ケガをしたことは決して無駄ではありません。
それは「正しい身体の使い方を学ぶチャンス」であり、「成長につながるきっかけ」でもあります。
このブログでは、子どもたちの身体づくり・ケガ予防について、わかりやすく発信していきます!
参考にした書籍
- 『柔道整復学・理論編〔改訂第7版〕』
監修:公益社団法人 全国柔道整復学校協会
編:公益社団法人 全国柔道整復学校協会 ・教育支援委員会 教科書部会 - 『整形外科学〔改訂第3版〕』
監修:公益社団法人 全国柔道整復学校協会
編:松下 隆・福林 徹・田渕 健一 - 『関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーション 上肢・体幹〔改訂第2版〕』
編集:整形外科リハビリテーション学会
編集委員:林 典雄(中部学院大学 リハビリテーション学部 教授)浅野 昭裕(碧南市民病院 リハビリテーション室 室長)
✅ 関連リンク
- ▶︎中学時代、腰椎分離症に。運動を諦めかけた僕が柔道整復師になった理由
- ▶︎https://www.instagram.com/bodycare.juseishi?igsh=MXNlc2pvczd6cWR5&utm_source=qr Instagramでストレッチ&ケア紹介中!
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